こんにちは。こちらの院長ブログではご質問や、気になることなどを毎月分かりやすく説明していきます。今回はお子様の習癖などを治していく「MFT(口腔筋機能療法)」についてご説明していきたいと思います。MFTとは?MFTとは、口腔筋機能療法(Myofunctional Therapy)のことで、舌や唇、頬などの口の周りの筋肉を整え、クセや誤った舌の使い方を改善することで歯並びやかみ合わせに対してアプローチするための治療方法です。MFTの目的MFTの目的は、口腔周囲の筋肉や舌の動き・位置を改善することで、歯並びへの影響を軽減し、あごの発育、呼吸法(口呼吸から鼻呼吸へ)、咀嚼、嚥下(飲み込み)、発音を改善することです。その結果、矯正歯科治療をスムーズに進めることができたり、治療後の後戻りに対して効果を得ることができます。MFTが必要な癖は??代表的なクセをご紹介します指しゃぶり幼少期から続く指しゃぶりは、上下のあごの発育や歯並びに影響を与えます。指を吸うことで、頬の筋肉が上あごと下あごを押す状態になるため、上下のあごの形が前に突き出て細くなってしまいます。そして、指が口に入っていることで上あごのアーチ状の形を変形させてしまいます。また、舌が本来の位置に来ていないことが多く、舌で前歯を押すことになり、結果的に「上顎前突(出っ歯)」の原因につながります。そのほかに、上下の前歯に隙間ができて噛み合わない「開咬」や、上下顎の奥歯の噛み合わせがずれて噛み合わない「交叉咬合」などの不正咬合が起こる場合もあります。3歳を過ぎても指吸いをしていたり、毛布などを咬んだりしている場合は、ご家庭で止めていくアプローチが必要になります。また、歯並びなどに影響がでていないか、矯正歯科に相談に行くことをお勧めします。指しゃぶりをしていなくても、爪を咬んだり、口元に手をもっていく癖がある場合も注意が必要です。口呼吸(お口ポカン)口呼吸をしていると、舌が下に落ちている状態になり上あごを舌で押す力が弱くなるため、上あごの発育と歯並びに影響を及ぼす可能性があります。また、口の中が常に乾燥した状態になり、唾液の分泌量が減少するので、唾液が本来持っている歯を清潔に保つ作用が低下し、虫歯や歯周病の原因菌を増殖させやすくするだけでなく、感染症などにもかかりやすくなることがわかっています。口呼吸の状態が続くと、あごや歯並びが変わってきてしまい、口を閉じたくても自然に閉じられないバランスになってしまうこともあります。そういった場合には、口を閉じるとあご先にしわができたり、口元がもこっとした感じになります。口呼吸をしてしまう原因の一つに「鼻閉」があります。呼吸が鼻呼吸で十分補えないために口呼吸をしてしまう状態です。鼻閉の原因はいくつかありますが、症状によっては耳鼻科で治療をしてもらいながら改善していく必要があります。舌突出癖(舌を前に出す癖)舌突出癖とは、飲み込むときに舌を上下の前歯の間に挟んだり、舌で歯を裏側から押したりする状態です。舌が前歯を押すため、「上顎前突(出っ歯)」や「反対咬合(受け口)」「歯間離開(歯と歯の間が空いている状態)」「開咬」などの不正咬合の原因となることがあります。また、舌突出癖の場合、低位舌といって舌が上あごについていない状態のことが多く、あごの成長方向の下方成分がより増える状態が日常的に続くので、顔が長くなる方向に力がかかりがちになり、成長期の顔面骨格に影響する可能性もあります。頬杖頬杖は、頬を手に当てて顔を支える癖のことで、顔の筋肉のバランスを崩したり、噛み合わせがずれたりする癖の一つで、顎の健全な成長発育に悪影響をおよぼすことがあります。成人しても頬杖の癖があると、顎関節症のリスクが上がることも言われています。顎関節症はあごの関節に問題がある状態で、あごを動かすとパキっと音がしたり、口を開け閉めするときにスムーズに動かない症状が代表的です。症状が進むと痛みが出たり、口を開けることができなくなることもあります。左右の頬筋のバランスが崩れていたり、骨格的に左右差があるとしてしまいがちなクセです。これには、歯並びやかみ合わせの影響で癖がついてしまっていることもあります。当院のMFTの提供体制当院では、MFTの専門トレーニングを受けた歯科医師と歯科衛生士のもとで矯正治療と並行して積極的に取り入れています。また、スタッフ全員にMFTの知識がありますので安心してご相談ください。MFTには、さまざまなトレーニングメニューがあり、トレーニングを受けた歯科衛生士とともにプランニングを立ててトレーニングを進めていきます。最終的には、無意識にしてしまうクセをなくし、正しい摂食嚥下運動を獲得することをゴールとしています。お子様だけではなく、大人の方にもMFTの取り組みが必要な場合はご案内しています。また、MFTのプラス効果として、下顔面がすっきりした印象になったりほうれい線の目立ちにもアプローチするので、歯並びの改善だけでなく口腔周囲の筋のリフトアップにもなるトレーニングとしてもご提案が可能です。習癖からくるあごの発育異常や歯並びはその後に大きく影響していくため、早めの相談が大切です。舌や唇といった口のまわりの筋肉の使い方に問題があることで引き起こされた症状なので、これらの問題を放置したまま矯正治療で歯並びやかみ合わせを整えても、時間が経つと簡単に後戻りしてしまいます。逆を言えば、これらを正しい状態に整えていれば、かみ合わせや歯並びをいい方向に持っていけることになります。つまり、早期の対応と矯正治療と並行して原因となっている筋肉の動きにアプローチすることがポイントです!早めのアプローチ、これが、「筋機能訓練療法(MFT)」を成功させるカギです。MFTは本来は離乳食を開始するころから徐々に獲得していく動きがベースになっているので、3歳くらいから開始できます。MFTや矯正治療が必要か分からない、お子様の習癖やちょっとしたことでも口に関することで気になることがありましたら、お気軽に無料カウンセリングをご予約ください!