こんにちは。こちらの院長ブログではご質問や、気になることなどを毎月分かりやすく説明していきます。今回は「子供の矯正(小児矯正・一期治療)」について、ポイントや治療方法などをご説明していきたいと思います。治療内容とゴールの違い子供の矯正治療の目的は、成長発育のある時期にあごの土台を整え、永久歯が本来の場所に生えやすくする環境を作ることで機能的できれいな歯並びになることを目指しています。一方、大人の矯正治療(成人矯正)は「歯」そのものを動かして機能的なかみ合わせを作る治療になります。矯正治療はいつからでも始められますが、開始する時期によって治療内容や結果が変わってきます。例えば、子供のうちに治療を始めることで永久歯の抜歯を回避できたり、癖を早期に取り除くことで後戻りの影響を抑えることにつながります。また、子供の治療から大人の治療へ移行した場合でも、ブラケット装置やマウスピースタイプの矯正装置を装着する期間を短くすることができます。スタートするおすすめの時期は?当院では、永久歯が生えてくる就学前に一度診察を受けていただき、開始時期や治療の必要性を判断することをお勧めしています。本格的に装置を使い始る時期は、男女で違いがあり、女の子は7〜8歳、男の子は8歳ぐらいが適切なタイミングとなります。いずれも歯の生えている状態にもよりますが、成長発育の関係上、女の子の方が早くスタートする傾向にあります。終了時期は第二大臼歯と呼ばれる一番奥の歯が生えそろい、思春期成長が概ね終了する14〜15歳ごろが一般的です。就学前だと矯正の開始時期より少し早いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、当院が6歳前後をお勧めしている理由として、歯並びに影響するようなクセがあると、本格的な矯正治療と習癖を除去して口の周りの筋肉や舌の使い方を正しくすることを並行して行っていかなければならないことが挙げられます。子供の治療は毎日の積み重ねの上に成り立つ治療です。2つ以上のことを毎日行うことは、簡単なようで意外と大変です。なるべく、ご本人やご家族の負担を少なくするために、成長発育が始まる前から口の周りの環境を準備しつつ、適切なタイミングで矯正治療を開始することで上下のあごを整えながら成長方向を誘導でき、永久歯が本来の位置に生えてきやすい環境を作っていきます。一期治療と二期治療のながれ子供の矯正治療には一期治療と二期治療があります。一期治療は先ほどご説明した14~15歳ごろまで行う治療のことです。当院では、虫歯のリスクや違和感を少なくするために、できるだけ取り外しのできる装置を選択しています。症例によっては固定式(外せない)装置が必要な場合もありますが、なるべく期間が短くなるように配慮しています。二期治療は永久歯が生えそろってからの治療のことです。基本的に大人(成人矯正)と同じ治療方法です。もちろん、一期治療で終了することもたくさんありますが、二期治療に移行することで、より緊密なかみ合わせが得られます。また、二期治療が必要となった場合でも、抜歯のリスクを軽減できたり、ワイヤーによる治療がしやすくなることも、一期治療から二期治療に進むメリットの一つかもしれません。当院はMFTにも力を入れて取り組んでいます歯並びに影響するクセや誤った舌の使い方を改善するための治療方法として口腔筋機能訓練療法(MFT)があります。MFTの目的は、口腔周囲の筋肉や舌の動き・位置を改善することで、歯並びへの影響を軽減し、あごの発育、呼吸法(口呼吸から鼻呼吸へ)、咀嚼、嚥下(飲み込み)、発音を改善することです。代表的なくせに、指しゃぶりや口呼吸、いつも口が開いているといったものがあり、これらの口腔習癖はあごの成長発育や不正咬合に影響することが知られています。当院では、MFTの専門講習を受けた歯科衛生士とトレーナーのもとで矯正治療と並行して積極的に取り入れています。子供の矯正(小児矯正・一期治療)を選ぶ際のポイントあごの成長発育と歯並びを鑑みて治療を行わなければならないので、治療方法の選択肢が多いクリニックを選ぶことが大切です。特に、長期間の継続した治療が必要なため、一つの装置や一種類の装置で治療が完了するということはあまりありません。つぎに、通いやすさや先生との相性もとても重要です。普段の生活でしっかり続けることができるかどうかが治療成功の鍵といっても過言ではありません。月に1度の通院が何年間も続くので、自宅から遠方のクリニックを選択することは、結果的にご負担になることが多く、治療がうまく進まないことにもつながります。ご相談に来られた際によくお伝えするのですが、ご家庭で日々トレーニングや装置の使用を行いながら、数年間の治療を続けていく必要があるので、子供の矯正治療は習い事と似ています。当院では一期治療として包括した治療体制をとっています。子供の矯正治療のために必要なことは全て行い、複数の選択肢の中からお子様一人一人に合わせた治療方法を考えながら、成長発育が終了するまでをフォローしています。比較的長期間にわたる治療ではありますが、今や100年時代と言われる人生の中の数年間で、その後に大きく影響を与える治療です。ご説明したポイントが子供の矯正治療に悩まれている皆様のお役に立てば何よりです。