こんにちは。こちらの院長ブログではご質問や、気になることなどを毎月分かりやすく説明していきます。今回は「不正咬合」についてご説明していきたいと思います。不正咬合って?不正咬合とは、歯が正しく噛み合っていない状態を言います。そのため「歯の問題」と認識している人も少なくありません。しかし、不正咬合に含まれる問題は幅広く、歯だけでなく骨格に起因するものも含まれます。遺伝学的な要因や指しゃぶり・舌癖など幼少期からの習癖によって顎の成長発育過程で不正咬合が生じているケースも多く、咀嚼・発音・顎の発育・顎関節といった機能面への影響だけでなく、出っ歯や受け口、口ゴボなど外見にも大きく影響します。不正咬合の種類と特徴叢生歯並びがガタガタな状態です(八重歯も含まれます)。叢生は、見た目のコンプレックスを感じやすい不正咬合の一つですが、むしろ、衛生管理の問題が多い不正咬合です。歯磨きなどを丁寧にしていても歯石がつきやすかったり、重なっている部分に歯ブラシが届いていないためにプラーク(汚れ)が溜まり、歯と歯の間の虫歯を繰り返したり、歯周病のリスクが高いといったことが問題になります。そのため、日ごろのホームケアだけではどうしても限界があるので、定期的な歯科への通院が欠かせません。上顎前突上の歯が下と比べて、より前に出ている状態です。一見歯並びはきれいでも、上と下の前歯が当たっていなかったりするケースも多くあります。口が閉じにくいことから、口呼吸がみられることも特徴です。また、口を閉じようとするとあご先にしわができるような緊張状態になる場合も上顎前突が疑われる所見です。下顎前突下の歯が上の歯に比べて前に出ている状態で、受け口やしゃくれ、反対咬合とも呼ばれ、成長期にかみ合わせが変わるケースもあります。審美的なコンプレックスも大きいため、心身に影響することも多いです。 また、前歯で物がかみ切れないといった咀嚼の問題や、滑舌が悪いなどの発音の問題も目立ちやすい咬み合わせです。治療には矯正治療だけでなく、外科手術が必要なこともあります。過蓋咬合かみ合わせが深い状態で、上または下の歯が深く重なっている状態です。下の前歯と上あごが当たってしまうことで上あごの歯肉を傷つけたり、片方のあごがもう片方のあごを抱え込んでしまうことにより、あごの発育が不十分になるといった問題があります。えらが張っていたり、顎関節症状を引き起こしやすいのも過蓋咬合の特徴です。上顎前突で過蓋咬合があるとガミースマイルになるので、思い切り口を開けて笑えないといった審美的な問題もあります。空隙歯列歯と歯の間に隙間が空いている歯並びです。原因として、先天的に歯が小さい場合や欠損がある場合、上唇小帯の付着異常ある場合、後天的に歯を失ったこと等が考えられます。上唇小帯の付着異常の場合は、切除が必要なこともあるので、学校検診や就学前検診で指摘された場合は、歯科への受診をお勧めします。空隙歯列は見た目だけでなく発音にも影響する場合があり、舌の習癖が存在しているケースも多い咬み合わせです。また、隙間に歯石がつきやすいため歯周病のリスクも高いとされています。上下顎前突上下の歯がどちらも前に突出した不正咬合です。舌や口唇の筋肉が弱い方に見られることの多いかみ合わせです。骨格的な問題も絡んでくることもあり、歯だけの矯正で治るのか、外科的な手術を併用しなければならないのかの見極めが重要になります。口が閉じられないために生じるドライマウスによって、口臭・歯周病・むし歯のリスクが高くなりがちです。また、前突していることから、転んだりした際に歯を損傷したりする外傷(前歯が折れたり唇を切ったり)も起こりやすい傾向にあります。開咬奥歯を咬み合わせた時に、歯と歯が合わせられない状態の咬み合わせです。ほとんどが前歯が咬んでいない、奥歯でのみ歯が当たっているケースです。奥歯にのみ咬合力が集中するためダメージが過度に加わります。前歯で物が咬み切れないといった咀嚼の問題だけでなく、下あごが下がり、常にポカンと口を開けているように見えるため、機能的にも審美的にもコンプレックスを抱えやすい噛み合わせです。長期間の指しゃぶりや舌癖が原因であれば、小児期のうちに治療することで矯正治療単独で改善ができることが多いですが、成人の場合、骨格的な問題があれば矯正治療と併用して外科的手術が必要になることもあります。交叉咬合本来外側にあるべき上の歯の一部が、下の歯よりも内側になっているなど、互い違いになっている咬み合わせです。内側に倒れこんでいるために、ブラッシングが難しく、歯の着色が目立ったり、むし歯や歯周病リスクを高めたりします。また、咬み合わせの高さに影響するので、顎関節症を誘発しやすかったり、部分的にしっかり噛めないことで、片側でしか食べ物をしっかり咀嚼することができないといった機能的な問題が挙げられます。また、咬み合わせるとあごがずれてしまい、顔が歪んでいる原因の場合もあります。不正咬合の治療の種類不正咬合の治療をする場合の矯正方法は主に3つあります。ブラケット/ワイヤー矯正:唇側矯正(表側矯正)ブラケット/ワイヤー矯正:舌側矯正(裏側矯正)マウスピース矯正ブラケット/ワイヤー矯正:唇側矯正(表側矯正)永久歯に対する一般的な矯正治療が唇側矯正(表側矯正)になります。最も適応症例が多く、ほぼすべての症例に対して対応ができます。→唇側矯正に関して詳しくはこちらブラケット/ワイヤー矯正:舌側矯正(裏側矯正)歯の裏側につけるので、目立たず、審美性が高い装置です。装置の調整に時間と技術が必要になるため、唇側と比べると少しコストアップします。→舌側矯正に関して詳しくはこちらマウスピース矯正インビザラインで周知されているマウスピース矯正は、取り外しができ、通院回数も少ないので、ライフスタイルに合わせた治療がし易いという特徴があります。しかし、十分な効果を得るためには必要な装着時間を確保しなければならず、「自己管理」が必要不可欠になります。また、かみ合わせの状態によってはマウスピース型矯正装置だけでは適応できない可能性もあることも注意が必要です。→マウスピース矯正に関して詳しくはこちら治療について不正咬合は、審美的な問題だけでなく、機能的な問題が大きいことがお分かりいただけたのではないでしょうか。当てはまることが少しでもあれば、カウンセリングで相談することをお勧めします。一人一人咬み合わせも歯の大きさも違います。お困りごとに対して治療方法の選択肢が限られてしまうと、長期にわたる矯正治療はなかなかうまくいきません。当院では、なるべく患者様のライフスタイルに合わせた、無理のない治療方法をご提案できるよう柔軟な姿勢で対応しています。些細なことであってもお気軽にお話ください!