こんにちは。こちらの院長ブログではご質問や、気になることなどを毎月説明していきます。今回は出っ歯と同様悩まれている方も多い「受け口」と、受け口と同じと思われている「しゃくれ」についてご説明していきたいと思います。受け口って?しゃくれって?悩まれている方も多い「受け口」と「しゃくれ」ですが、実はこれら2つは少し違いがあります。「受け口」は、かみ合わせたときに下の歯が上の歯より前に出ている状態を指します。見た目にもかみ合わせが反対ですし、食事が前歯でかみにくかったり、発音が不明瞭になってしまったりといった経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。一括りに受け口と言っても、①下あご自体が大きかったり、逆に上あごが小さいことで相対的に下が前に出ている状態②歯とあごのサイズに不調和や、上の歯が内側に傾斜し下の歯が外側に傾斜している、歯の問題からくる状態の大きく分けて原因が違う2つのパターンがあります。一方、「しゃくれ」はあご先の突出感や側貌など顔貌を含めた状態のことを指すことが多く、審美的な問題も兼ねている場合が多いです。主に骨格的な問題がしゃくれの要因ですが、必ずしも受け口のように下の前歯が上よりも前に出てかみ合わせが逆になっているとは限らず、前歯と前歯がぎりぎりあたっている状態であったり、下の前歯が極端に内側に倒れこんでいて一見すると普通のかみ合わせのように見えるケースもあります。顔貌として横から見ると三日月のような細長い顔になる特徴があります。原因は?受け口やしゃくれになる原因は出っ歯や口ゴボと同様、「遺伝要因」と「環境要因」の2つに分けられます。「遺伝要因」は、身長や目の色、顔つきなどと同じようにご両親から遺伝したもって生まれた要因ことです。一方、「環境要因」は、幼少期からの癖や生活習慣といったことが原因で歯並びや骨格に影響を及ぼす要因のことです。環境的要因となる癖などに関しては別の機会に詳しく説明していきたいと思いますが、歯並びに影響するほどの癖が大人になってからも残っていると、矯正治療で治したとしても少しずつ元に戻ってしまったりと、歯並びに影響し続けることになってしまうので、そういった癖や習慣がある場合は、早めにアプローチすることが大切です。しゃくれ・受け口の治療法大人と子供、さらに、骨格的な問題なのか歯だけの問題なのかで治療方法や期間は変わってきます。ここでは、大きく4つに分けてご説明していきます。① 大人で歯に問題があるケース歯の傾きやサイズによって受け口になってしまった場合は、抜歯またはインプラントアンカー(骨にインプラントを埋入し、引っ張る力を補助的に付与する治療法)を併用した矯正治療が選択されるケースが多いです。マウスピース型矯正装置も使用できますが、移動量によっては適応が難しいこともあるので、基本はワイヤーを用いたブラケット装置による矯正治療が主になります。② 大人で骨格的に問題があるケース抜歯やインプラントアンカーの併用でかみ合わせが改善し、付随してあご先の突出感や側貌の改善が望めるケースももちろんありますが、骨格的な要因がある場合、歯だけの矯正治療だけでは改善が難しい症例が多いため、外科的な手術の併用を検討する必要があります。骨格的な問題から、かみ合わせや咀嚼といった本来の機能が十分に得られていない状態であると診断されると、顎変形症という病名になります。顎変形症の場合は、機能改善が必要になるので、矯正治療および外科手術に対して健康保険での適応となります。顎変形症の場合は矯正治療を実施するにあたり施設基準があり、どこでもできるわけではありませんので、受診をしようと思っているクリニックに事前に問い合わせをすることをお勧めします。③ 子供で歯に問題がある機能的なケース成長過程の子供の場合、かみ合わせによって受け口ができたりする場合があります。また、思春期成長前であれば土台である骨が完成していないので、誤った位置から正しいあごの位置への誘導をしていくことで、反対咬合を改善していきます。症状によって使用する装置は様々ありますし、治療開始の時期にも影響するので、お子様のかみ合わせの問題が骨格的なのか機能的なのかを診断する必要があります。これらの判断には、セファログラムによる撮影が必須ですので、セファログラムの撮影と診断ができるかどうかがクリニック選びの一つのポイントになるかと思います。④ 子供で骨格的に問題があるケース下あごの成長は身長の伸びる時期(思春期成長)とほぼ同じ時期に起こります。一時的にかみ合わせが戻っても、成長期に下あごも成長することで再び受け口やしゃくれになってしまうケースがあります。この場合は、成長が終了するまで積極的な矯正治療は行わず、経過観察することになります。成長期は男女差があるため、経過観察の時期や期間も男女で違いがあります。一般的に女の子の方が成長が早く終わるので、II期治療と言われる大人の治療へ、男の子に比べて早く移行することができます。男の子の場合は、大学生になる頃くらいまで成長変化が続く方もいるので、女の子に比べると経過観察期間が長くなる傾向にあります。受け口やしゃくれの治療には、成長変化を踏まえたり、どのタイミングでアプローチをするのがいいのか、保険適応になるのか、治療期間はどれくらいになるのか、などポイントがたくさんあります。なので、検診などで指摘を受けた場合は、必ず矯正歯科を受診し、早めの情報収集と現在の状態を知っておくことが大切です。当院では1人1人の患者さんの状態に合わせて包括的な治療ができるよう、最適な治療法をご提案していきます。まずはお気軽に無料カウンセリングをご利用ください。