1. はじめに:顎変形症とは?顎変形症(がくへんけいしょう)とは、上下の顎の骨格に大きさや位置のズレがあることで、かみ合わせや顔のバランスに影響を及ぼす病気です。中高生の時期は身体の成長とともに顎の発達も著しく、このタイミングで問題が表面化することが少なくありません。顎変形症は、咀嚼や発音といった機能面だけでなく、見た目の印象や心理的な側面にも影響するため、心身の健康に関わる重要な問題です。保護者の早期の気づきと、お子さまからのサインをしっかり受け止め、サポートすることが、将来の生活の質を大きく左右します。2. こんなサインに気づいたら注意以下のようなサインが見られたら、顎変形症の可能性があります:かみ合わせがずれていて、前歯がかみ合わない顎が左右に曲がっている、顔が非対称に見える発音が不明瞭で話しにくそう食べるのに時間がかかり、よく噛めていない様子写真で笑顔を見せない、口元を手で隠すことが多い親戚や家族に顎変形症の既往がある学校の歯科検診で指摘を受けたお子さま自身が自覚していない場合も多いため、保護者の観察や気づきが非常に重要です。3. 矯正歯科だけでは不十分なケースも「歯並びが悪いから矯正をしよう」と思っても、原因が骨格にある場合、歯列矯正だけでは根本的な改善ができません。顎変形症と診断されるすべてのケースが手術を必要とするわけではありませんが、外科手術と歯列矯正を組み合わせた“外科的矯正治療”が必要になるケースが多く見られます。治療方法はしっかり検討する必要があるため、専門医による的確な診断が欠かせません。4. 治療のタイミング:なぜ中高生がベストなのか成長期である中高生の時期は、顎の発育と治療のタイミングが重なる貴重な時期です。骨がまだ柔軟なため、将来的な安定性も高まります。一方で、進学や受験など多忙な時期でもあるため、治療時期の選定は慎重に行う必要があります。保護者と担当医師(主に矯正医)が連携し、無理のないスケジュールで計画を立てることが大切です。特に人気のある時期は、大学受験が終わった春休みの手術です。術後矯正は続きますが、手術による顔貌の改善が得られるため、「新しい環境で前向きなスタートを切れる」と考えるご家庭が多く、その時期に手術を受けられるようにと高校に入学したタイミングで相談に見えられる方が増えています。5. 手術はどんなことをするのか顎変形症の手術は、一般的に「入院」「手術」「回復」の流れで行われます。【保険診療の場合】入院期間: 約1〜2週間術式: 上下顎の骨を適切な位置に移動・固定回復期間: 個人差はありますが、約1〜3ヶ月で日常生活に復帰可能手術後は、口が開けづらく食事がしにくい時期や、腫れ、部分的な感覚の鈍麻・しびれなどが起こる場合があります。保護者としては、入院中のサポートや学校との連携、家庭でのケア準備を整えておくことが重要です。6. 保険適用についての基礎知識顎変形症は、矯正歯科治療と外科手術や入院などが保険適用になる場合があります。主な条件は以下の通りです:機能障害(かみ合わせ・発音など)があると診断された場合顎口腔機能診断施設として認定された医療機関で治療する場合外科的矯正治療の必要性が明確である場合保険適用になるかどうかは、精密検査と診断の結果で判断されます。検査は自費で行う必要がありますが、後に保険適用と認められた場合、検査費用の一部または全額が返金されるケースもあります。ただし、保険外と判断された場合は返金されないため、事前の説明をしっかり確認しておくことが大切です。*費用や制度について不明な点があれば、必ず事前に医療機関へ相談しましょう。保険外診療の場合は高額になることもあるため、「どこまでが保険でできるのか」を理解しておくことが安心につながります。*クリニックにより方針が異なる場合があります。予めご確認の上、受診をお願いいたします。7. 実際の声:親として感じたこと「中学生の頃から、娘は“あごが出ている”ことを気にし始め、口元を手で隠したり、写真を撮る時にも写り方を気にするようになっていました。学校でも陰で何か言われていたようで、親としては胸が痛かったです。ある時、本人から『矯正したい』と言われましたが、最初は“そこまで深刻じゃないのでは”と軽く受け止めていました。ただ、娘の気持ちは本気だったようで、相談に行った最初のクリニックでは『ここでは対応できない。矯正単独では難しいケースだ』と説明され、初めて“顎変形症”という病名を知りました。正直、手術と聞いたときは親として不安が大きく、“そこまでする必要があるのか”と迷いもありましたが、娘の「治したい」という意志は変わりませんでした。いくつか矯正歯科を回る中で、保険と自費の両方を扱っているクリニックは関西でもほとんど見つからず、数少ない中の一つがフェリシア矯正歯科さんでした。ここでは、保険診療と自費診療の両方について非常に丁寧に説明してくださり、最終的には保険での治療を選びました。期間の短縮や入院の短さなど、自費での治療にも大いに惹かれましたが、娘と相談して納得のうえで決断しました。今は治療が始まり、娘自身が「変われる」と実感しているようで、以前のように顔を隠すことも少なくなり、写真に写ることも前向きになりました。先生方の温かい声かけにも支えられながら、安心して通院できています。」8. まとめ:後悔しないために今できること顎変形症は、単なる「見た目の問題」ではなく、医療的に治療が必要な病気です。矯正相談には行ったものの、「そこまでしなくてもいいのでは」と保護者の判断で治療を見送ってしまうケースも少なくありません。しかし、未治療のまま過ごすことは、お子さまにとって将来的に機能的・精神的な負担となる可能性があります。少しでも気になる症状があれば、顎変形症を扱う専門医への相談をおすすめします。学校歯科検診や定期的な歯科通院をきっかけに、早めに確認することが大切です。そして何より、「見た目の問題」ではなく、お子さまの未来の健康と自信を守るための医療であることを忘れずに、一緒に考えていきましょう。📌 ご相談・カウンセリングのご予約はWEB予約よりお気軽にどうぞ。前の記事を読む 顎変形症 FAQ 顎変形症なのに手術なしーカモフラージュ治療の可能性と注意点フェリシア矯正歯科(大阪市西区)は、顎変形症(サージェリーファーストも対応)に対応する矯正歯科専門クリニックです。顎変形症の手術を担当する医療機関との連携体制を構築し、矯正治療と外科手術をスムーズに連携・進行できる環境を整えています。また、保険診療・自由診療の両方に対応しており、患者様一人ひとりの状況やご希望に合わせた治療計画をご提案しています。他院手術後の咬合不全や矯正治療の相談先にお困りの方へ、専門的な診断と丁寧な対応を心がけています。